
人生いろいろあったけど、
ここまで長く続いているものがひとつだけある。
それが、糠味噌。
自分で言うのもなんだけど、これがなかなか旨い。
正直、どんな菌が住みついているのかはまったく分からない。
むしろ、ちょっと怖いくらい。
できることなら、どこかの研究所に持ち込んで
「この中、どうなってます?」って調べてほしい。
もしかしたら、新種の菌とか見つかるんじゃないかと思っている。
子どもがまだ小さかった頃、
ボーイスカウトのキャンプに付き添ったときも、
糠床は普通に持参した。
1日1回かき混ぜないと気が済まなかったから。
今思うと、キャンプに糠味噌持ってくる親、なかなかいない。
でも最近はちょっと図太くなって、
3〜4日放置しても大丈夫。
私が「まあいっか」で済ませているだけか。
糠床の菌たちが強くなったのか、
それでもちゃんと美味しいから、糠床ってすごい。
腸にいいはずのものを食べていたのに、
大腸癌になった私が言うのもなんだけど、
それでもやめないのが糠味噌。
……ただし、家族ウケはすこぶる悪い。
長女は匂いに敏感で、
私が糠床をかき混ぜただけで
「部屋がもう糠味噌くさい」とクレーム。
トマトを糠に漬けて出した日には、
「お願いだから、そのままで食べさせて」と懇願された。
さらに、母と姉にも「どうぞお裾分けです」と分けてあげたのに、
結果は——早々に塊にして廃棄。
育たなかったのは糠床じゃなくて、
たぶん、愛情のほうか。
それでも私は、今日も糠をかき混ぜる。
これからの季節、きゅうりを入れると最高。
浅漬けとも違う、あの独特の旨さ。
もし欲しい人がいたら、お分けしてもいいけど、
お腹の保証はしません。
乳酸菌って、ものすごい数の種類があるらしい。
この中にまだ名前のついていない菌がいるとしたら——
学名:Lactobacillus rieensis(仮)(仮)
——理恵の糠床から発見された菌、ということにしておく。


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